FSCI

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FSCIとは †

FSCIは我々の開発した手書き図形認識エンジン「ファジィスプライン曲線同定法(Fuzzy Spline Curve Identifier)」の略称です。

近年、タブレットやPDAなどのペン入力デバイスの普及にともない、 画面に直接図形を手書き描画できる環境が整いつつあります。 しかし、手書き文字認識技術は既に実用化されているものの、 手書き図形認識については実用化には至っていません。 そこで、我々は手書きで入力された図形を認識するためにFSCIというまったく新しい手法を生み出しました。

一般に作図アプリケーションを考えるとき、基本図形の種類として円、楕円、三角形、長方形などをはじめ様々なものが必要と考えられます。 そこで、従来の図形認識法ではアプリケーションの用途に応じて「三角形」や「長方形」などを認識対象に含めるのが普通でした。しかし、FSCIでは汎用性を追求するために、あえてこれらの図形を排除し、手書き認識の対象を7種類の基本幾何曲線プリミティブ(線分、円、円孤、楕円、楕円弧、閉自由曲線、開自由曲線)に限定しました。 なぜなら、複雑なCAD図形でも、実はそのほとんどが、7種類の基本幾何曲線プリミティブの組合わせで表現されるからです。たとえば、「線分」をFSCIで正確に手書き認識してしまえば、三角形や長方形などはアプリケーション側で簡単に図形として認識することができるのです。

FSCIの認識対象
図1 FSCIの認識対象

7種類しかない幾何曲線プリミティブの認識は一見簡単に思えます。しかし、これらの間には、「円は楕円の特別な場合」、 「楕円は閉自由曲線の特別な場合」、また「円は円弧の特別な場合」、「楕円は楕円弧の特別な場合」などといった、内包関係があります。 そのため、従来の曲線形状のみに頼った図形認識システムで、このような包含関係にある図形を識別するということは難しいことなのです。そこで、FSCIでは、描画の曖昧さをユーザの意図表現として積極的に活用するというユニークなアプローチで、この問題を解決しました。

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図2 幾何曲線プリミティブの内包関係

FSCIでは,描画形状とともに描画動作の動特性から描画の雑さの程度を見積もることで、描画形状をいったんファジィスプライン曲線という、曖昧さを内包した曲線として内部表現します。 その上で、可能性のある中でなるべく単純な幾何曲線プリミティブを選択しようとする ファジィ推論を行なって手書き図形を認識します。 このことにより、FSCIでは、大雑把で適当な描画は単純な幾何曲線に、反対に丁寧で意図的な描画は複雑な幾何曲線に認識されることになります。したがって、ユーザはこの性質を利用して、描画形状とともに描画の雑さの程度を調節することで、自分の描画意図を適切に表現しFSCIに伝えることができます。

FSCIの認識特性 †

ファジィスプライン曲線は通常のスプライン曲線をファジィ集合論に基づき拡張したもので、手書き曲線の形状とともにその曲線の位置の曖昧さを表現します。 FSCIでは描画の速度と加速度の大きさに応じて、 手書き曲線上の各点でのファジネス(曖昧さ)を算出し、 ファジィスプライン曲線を生成します。

図3は入力された手書き曲線です。

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図3 手書き曲線


図4がファジィスプライン曲線です。 緑色の円が各点でのファジネスの大きさを示しています。 ファジネスは素早く適当に描かれたところでは大きくなり、 ゆっくりと丁寧に描かれたところでは小さくなります。

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図4 ファジィスプライン曲線

FSCIはファジィスプライン曲線のファジネスの大きさの違いを用いて、曲線を区別することができます。 ここで、図3の下段の3つの曲線に着目すると これらは皆同じような形状をしていますが、 図4を見ると3つの曲線でファジネスの大きさが違うことがわかります。 これは左の曲線は素早く雑に描かれ、真ん中の曲線はやや丁寧に描かれ、右の曲線はゆっくり丁寧に描かれたからです。 つまり、この3つの曲線の描画動作には違いがあり、ユーザの描画意図に違いがあると考えられます。 この描画動作の違いをうまく利用して、手書き図形を認識する手法がFSCIです。

ファジィ推論の結果、認識された曲線が図5の赤い曲線です。 先の3つの曲線のうち、左の曲線はファジネスが大きいため単純な円である可能性が見出だされています。一方右の曲線はファジネスが小さいため、単純な幾何曲線の可能性が見出されず、結果的に複雑な自由曲線に認識されています。 このようにして、形状が似ているにもかかわらず3つの曲線は左から円(C)、楕円(E)、閉自由曲線(FC)と区別して認識されることになります。

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図5 ファジィスプライン曲線と認識結果

FSCIの処理プロセス †

FSCIの処理プロセスはファジィスプライン補間処理、幾何曲線プリミティブの同定処理の2段階で構成されています。

  1. ファジィスプライン補間処理
    1. ファジネス生成処理
      1. 手書き曲線の各サンプル点での速度及び加速度の大きさに応じたファジネスを生成する。
      2. ファジネスを各サンプル点に付加することによりファジィ点列を構成する。
    2. ファジィ点補間処理
      1. ファジィ点列をファジィスプライン補間することによりファジィスプライン曲線を生成する。
  2. 幾何曲線プリミティブの同定処理
    1. 可能性評価処理
      1. ファジィスプライン曲線をもとに線形ファジィモデル、円形ファジィモデル、楕円形ファジィモデル、の3つの仮説ファジィモデルを構成する。
      2. ファジィスプライン曲線と仮説ファジィモデルをファジィ測度により比較・評価し、線形性、円形性、楕円形性、閉曲線性の4つの可能性値を得る。
    2. 曲線クラス推定処理
      1. 得られた可能性値をもとに、7種類の幾何曲線プリミティブの中からなるべく単純な幾何曲線プリミティブを選択しようとするファジィ推論を、ファジィニューラルネットワークによって行う。
      2. 得られた7種類の幾何曲線プリミティブのグレード値を元に、幾何曲線プリミティブの種類を決定する。
      3. 仮説ファジィモデルあるいはファジィスプライン曲線から、決定した幾何曲線プリミティブの種類に応じた形状パラメータを抽出する。

参考 †


添付ファイル: fileHP_6_ja.PNG 493件 [詳細] files_HP_fsci7curve_2.png 511件 [詳細] files_HP_fsci7curve_1.png 497件 [詳細] files_HP_fsci7curve_3.png 510件 [詳細] file11_2_2.gif 490件 [詳細]

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