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: ファジィ推論法3 : ファジィ推論の概要 : ファジィ推論法1   目次


ファジィ推論法2

これは,ファジィ集合の中でもタイプ2ファジィ集合と呼ばれるより次数の高いファジィ集合で表現される「言語的真理値」を基に得られる推論法である.この数学的解釈はかなり面倒になるが,制御むきに単純化されたものについて述べる.

推論法2の概要

この推論法は,図3.7に示すようなものである.ここで各規則の前件部と適合度の算出方法は,推論法1と基本的に同じである(図3.7の場合は,規則の適合度として各変数の適合度の積を採用していることに注意).違いは後件部のファジィ集合の形と推論結果の出し方である.

図 3.7   推論法2

まず各後件部のファジィ集合のメンバシップ関数は,必ず単調減少あるいは単調増加の関数にする.つまり1対1の関数にする.そして,各規則の推論結果としては,後件部のファジィ集合においてその規則の適合度に対応するグレードをもつ要素が選択される.ここで,各規則の推論結果はもはやファジィ集合ではなくある数値として求められることに注意する.全体の推論結果は,各規則の推論結果の適合度による重み付き平均として得られる.

推論法2と推論法1の比較

この推論法2では,後件部のファジィ集合の形を変えることにより推論結果を微妙に変化させることができるため推論法1にくらべて規則数を減らしても微妙な制御ができるようになる利点がある.ただし,これは逆に定義するファジィ集合の形に推論結果が敏感に影響されることを意味するから,規則の与え方が非常に難しくなりシステムの設計が大変になる. 一般に推論法1は,細かなことはわからないが,いろいろな定性的で大ざっぱな規則をたくさん書き並べられるときに有効で,複雑なプラントと制御やエキスパート・システムなどに向いている. 逆に推論法2は,中身のことがかなり詳しく解析でき,システムの動きを見通して規則を設計できる場合に有効となる.

推論法2の実例

推論法2に適した実例として,例えば,ハンドルの切り角$\phi$を制御して,目標線に沿って車がまっすぐに進むように制御する場合が考えられる.この場合,図3.9のような制御規則を適用して推論法2による制御を行えば大変うまく制御されることが報告されている.ただしここで,$d$は車の目標線からの距離,$\theta$は車の進行方向の目標直線に対する角度である.

図 3.8   目標線と車の位置

図 3.9   推論法2による車の直進制御のための制御規則



平成12年5月17日