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: 農産物の形状認識 : ファジィ理論の図形,画像分野における応用例 : ファジィ理論の図形,画像分野における応用例   目次

ファジィ・クラスタリング

ファジィ・クラスタリングの基本的なアルゴリズムは通常のクラスタリングと同じであり,各々の要素のクラスタに属する属し方にファジィ的な概念を導入したものである.したがって,ここでは,アルゴリズム自体の解説は省略して,ファジィ・クラスタリングの基本的な考え方を紹介するにとどめる. このファジィ・クラスタリングの基本的なアイディアは,要素をハードな境界によって分割せずにソフトな境界によって曖昧に分割することになる.これは,丁度,クリスプ集合がファジィ集合に拡張されたことと対応する.ここでは,ある要素は同時に複数のクラスタに属することが許され,その属し方もファジィ集合のグレードのように区間$[0,1]$の間に任意の値をとることができる.このようなソフトな分割は本質的に境界の曖昧な要素のクラスタリングにおいては非常に重要となる.

図 6.1   通常のクラスタリングの結果

図 6.2   ファジィ・クラスタリングによる結果

このファジィ・クラスタリングの重要性を理解するための簡単な例として,図6.1と図6.2の比較が面白い.図6.1,図6.2は共に平面上に並べられた15個の点を距離を基準に二つのクラスタに分けた結果を示している.通常のハードなクラスタリングでは,左右非対称の分割しか得ようが無いが,ファジィ・クラスタリングによるソフトなクラスタリングでは,左右対称の自然な分割結果が得られているのがわかる.これは,本質的にはっきりと2分割できない問題,つまりファジィな分割問題を通常のクラスタリングで解決することには無理があることを示している. このようなファジィ・クラスタリングの技術は,リモート・センシング画像解析などに応用されているようである.

平成12年5月17日