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: ファジィ・インターバル(FI)論理の定義 : ソフトコンピューティング 講義資料(II) : ファジィ数の大小の比較   目次

ファジィ・インターバル論理${}^{[10]}$

前章では,言語的真理値の近似として,区間真理値を用いることが応用上有効なことを示した.ここで,区間的真理値は真理値に関する中間的な判断が表せるだけではなく,真理値に対する部分定無知を表現できるのが特徴であった.しかし,ここで,区間真理値はその定義から,真理値上における正規なクリスプ集合しか扱えなかった.したがって,区間真理値は正規でない言語的真理値のよい近似を与えることができない.ところで,正規でない言語的真理値は真理値に「矛盾」を含んでいることを表現していると考えられることから,これは即ち,区間真理値は矛盾を含んだ真理値を扱えないことを意味する.また,この事実は,必然性真理値$n$が可能性真理値$p$より大きくなった場合(つまりこれも矛盾があることを意味する)に区間真理値が定義できないことからもうかがえる. ところで,最近,ファジィ・インターバル論理という新しい論理が提案された.このファジィ・インターバル論理の真理値モデルは,区間真理値を特別な場合として含み,その上さらに,正規でない真理値を表現できる特徴がある.これは,区間真理値の拡張として,「無知」の他に「矛盾」の概念をも表現できる真理値モデルが提案されたことを意味する.この真理値モデルは応用上,区間真理値よりさらに有効な真理値モデルとして興味深い性質も持つので本章でこれを紹介,考察する.



平成12年5月17日