BlueGrottoとは †
BlueGrottoは、空中にフリーハンドで線を描くだけで正確な幾何学的立体図形を作りだすことを可能にするシステムです。このBlueGrottoも、SKITと同じくFSCIを手書き図形認識エンジンとして利用しています。
従来のCADを用いることで、精密な立体図形の作成は可能です。しかし、幾度も作図面を切替えつつ平面上での2次元的な作図作業を繰返す必要があり、また間接的なメニュー操作を多用する必要もあります。そのため、3次元空間中に直接的に立体図形を描き出すような直感的な感覚で作図を進めることは必ずしも容易ではありません。そこで近年は、ペンタブレットやVR環境を利用した直感的な立体図形入力法を実現しようとする試みがいくつかなされています。しかし、これらでは、本格的な手書き図形認識がなされていないため、幾何立体図形の入力手順に一貫性がなかったり、自由形状物体の生成に用途が限られていたりします。そのため、「多様な幾何立体図形を入力するための汎用的な手書き図形入力インタフェース」を実現するためには従来法とは別なアプローチが必要であると我々は考えました。
そこで、本研究室では、FSCIによる本格的な手書き図形認識をVR空間で動作させることで、多様な幾何立体図形を一貫した手書き描画動作だけで入力することができるシステム、BlueGrottoを開発しています。さらに、BlueGrottoを3次元手書き入力フロントエンドプロセッサ(FEP)化したBlueGrottoFEPの開発も進めています。これは既存の実用CADに対してBlueGrottoの直接的な手書き入力をサービスとして提供するものです。BlueGrottoFEPの開発によって、BlueGrottoの直感的な手書き入力とCADの豊富なコマンド入力の両方を同時に利用できる実用的な3次元モデリング環境の実現を目指しています。
インタラクション2012 ポスター |
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イノベーション・ジャパン2007 展示用ポスター | |
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BlueGrottoの没入型VR環境 †
BlueGrottoは、没入型VR環境中にFSCIを利用したユーザインタフェースを構築することで実現されます。没入型VR環境を実現するための入出力装置として、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、スタイラス、スペースマウス、トランスミッタが用いられます。
HMDはゴーグル状の磁気センサ付きディスプレイで、仮想空間をユーザに立体視映像として提示します。スタイラスはON/OFFスイッチ付きのペン型磁気センサで、仮想空間への描画を行なうために用いられます。スペースマウスは3次元図形の移動や回転を行なうための入力装置です。トランスミッタはHMDやスタイラスの位置や姿勢を検出するための装置で、画板に取り付けて使用しています。
BlueGrottoによる幾何立体図形入力 †
BlueGrottoでは、立体図形を入力するための手法としてスイープ(スイーピング)を採用しています。スイープとは、ある図形(スイープ図形)をある経路(スイープ経路)に沿って移動させた軌跡として立体図形を生成する手法です。BlueGrottoでは、このスイープ図形とスイープ経路のそれぞれを手書きで入力し、それらをFSCIに認識させることで幾何立体図形の手書き入力を実現しています。BlueGrottoで必要な入力操作は、基本的にスイープ図形とスイープ経路の描画だけで良く、操作に一貫性があります。それにも関わらず、多様な幾何立体図形の生成が可能です。なぜなら、スイープ図形とスイープ経路のそれぞれを7種類の基本幾何曲線プリミティブのいずれかとして区別して入力でき、しかもそれらを3次元空間中に自由に配置できるからです。
スイープによる手書き入力例(円柱) †
スイープによる多様な幾何立体図形の手書き入力例 †
手書き入力によるモデリング例 †
BlueGrottoFEPと実用CAD(AutoCAD)との連携動作例 †
BlueGrottoFEPと実用CAD(例えばAutoCAD)とを連携動作させることにより、BlueGrottoの直感的な手書き入力とAutoCADの豊富なコマンド入力の両方を同時平行的に利用した3次元モデリングを行うことができます。
参考 †
環境広場さっぽろ2006 展示用ポスター | 第6回産学官連携推進会議 ポスター |
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- BlueGrottoFEPとAutoCADを併用したモデリング例のデモビデオ(画像電子学会 第226回研究会)
- BlueGrottoFEPの機能概要デモビデオ(インタラクション2005)